情報ネットワーク研究室では、情報処理システムと通信ネットワークを融合した研究課題に取り組み、新たなネットワークサービスの実現を目指します。コンピュータは高性能化し、ネットワークも高速化する時代に、情報ネットワーク研究室では、ネットワークを情報処理システムの一部と捉えて、これらの快適性、利便性、安全性を実現するための情報処理システムの研究課題に取り組みます。

共同研究機関

●NTT ネットワークサービスシステム研究所
●国立情報学研究所 / National Institute of Informatics(NII)
●京都大学
●専修大学

研究テーマ

超低遅延光ネットワーク

大容量で低遅延なネットワーク環境のためには、ネットワークの作り方自体を変えていく必要があります。現在のネットワークは、大まかには情報を宛先毎に振り分けるスイッチングシステムと情報を遠くに伝達するための伝送システムで、情報伝達機能を実現しています。スイッチングシステムは、細かい粒度で宛先を選択できる一方で、情報をバッファリングするため遅延を増大する要因にもなりえます。大容量で低遅延なネットワーク実現の1つのアプローチは、遅延を増大する要因になりえるスイッチングシステムを利用せずにフルメッシュで接続するネットワークを構成することです。ただし、単純なフルメッシュ構成では、接続可能な拠点数に制限が出たり、細かい粒度の宛先選択ができなかったりと課題があります。超低遅延光ネットワークの研究テーマでは、これらの課題を解決する階層化ネットワークや、少ない波長数を効率的に利用する光波長ネットワーク構成法などの研究課題を扱います。

ネットワーク分散処理アーキテクチャ

ネットワークを介して提供されるサービスの1つの課題は遅延です。ネットワークゲームなどでも、アプリケーションが動いている情報処理システムからの距離によって、遅延差による不公平が生じます。例えば、東京のサーバでアプリケーションが動いている場合、東京のユーザと沖縄のユーザでは、遅延の観点で沖縄のユーザが不利となります。これらの不公平性をなくすような情報処理システムは、ネットワーク内の情報処理システムの配置、アプリケーションの処理方法など全ユーザの遅延を最小にし、かつ、遅延を公平にするような仕組みが必要となります。ネットワーク分散処理システムの研究テーマでは、様々な利用シーンを想定し、広域ネットワークを介して提供されるサービスの低遅延化と遅延公平制御を実現する研究課題を扱います。

高信頼な通信ネットワーク構成法

ネットワーク事業者としての1つの課題はサイレント故障対策です。通常の故障は通知があり、直ぐに保守者がアクションできますが、通知がなくどこが故障しているかわからない故障は、ユーザからの通知を契機に発見することが多く、故障箇所の探索も時間がかかることがあります。高信頼な通信ネットワーク構成法の研究テーマでは、定期的に通信の正常性をヘルスチェックする仕組みやトラヒックデータから故障を予測する研究課題を扱います。

メンバ

教授 川端 明生
M2 土合 玲音、平木 志虎
M1 米持 春貴
B4 多賀 一平、堀 央樹、湯原 快多、中嶋 武尊、泉谷 春樹

研究成果

堀 央樹, 川端明生(豊橋技科大), 低遅延なアプリケーションに適用するデータベースの分散配備法, , IEICE NS研究会(福井大学), 2024年11月

多賀一平(豊橋技科大), 川端明生(豊橋技科大), 大規模ネットワークのエリア分割法を用いた高速検査に関する研究, IEICE NS研究会(東北大学), 2024年9月

Akio Kawabata, Bijoy Chand Chatterjee, Eiji Oki, DSND: Delay-Sensitive Network Design Scheme for Multi-Service Slice Networks, IEEE Networking Letters 2024年4月

Akio Kawabata, Bijoy Chand Chatterjee, Eiji Oki, CMND: Consistent-aware Multi-server Network Design Model for Delay-Sensitive Applications, IEICE Transactions on Communications E107-B(3), 2024年3月

Sanetora Hiragi, Bijoy Chand Chatterjee, Eiji Oki, and Akio Kawabata, A Distributed Processing Communication Scheme for Real-Time Applications over Wide-Area Networks, IEEE Consumer Communications & Networking Conference (CCNC), 2024年1月

平木志虎(豊橋技科大), 大木英司(京大), 川端明生(豊橋技科大), 広域ネットワークサービス向けのユーザ参加予測に基づいた低遅延なネットワークの設計法, IEICE NS研究会(九州工業大学), 2023年12月

土合玲音(豊橋技科大), 宮村崇(専修大), 川端明生(NTT/豊橋技科大), 波長変換機能を活用した階層型All-Photonics Network構成法, IEICE NS研究会(北海道大学), 2023年10月

Akio Kawabata, Bijoy Chand Chatterjee, Eiji Oki, MHND: Multi-Homing Network Design Model for Delay Sensitive Applications,IEICE Transactions on Communications E106-B(11) 2023年11月

Akio Kawabata, Takuya Tojo, Bijoy Chand Chatterjee, Eiji Oki, A Network Design Scheme in Delay Sensitive Monitoring Services, IEICE Transactions on Communications E106-B(10) 2023年10月

Akio Kawabata, Bijoy Chand Chatterjee, Eiji Oki, A Network Design Approach Considering Data Consistency for Delay-Sensitive Distributed Processing Systems, IEEE International Conference on Communications(ICC) 2023年5月

Akio Kawabata, Bijoy ChandChatterjee, Eiji Oki, MHND: Multi-Homing Network Design Model for Delay Sensitive Distributed Processing Applications, IEEE Consumer Communications & Networking Conference (CCNC) pp. 348-353 2023年1月9日

Akio Kawabata, Managed IP Network for Triple-Play Services, The 9th International Conference on Advanced Informatics: Concepts, Theory and Applications (ICAICTA2022) 2022年9月28日

修士論文テーマ

〇2024年度
土合玲音:オールフォトニクスネットワークのネットワーク構成法の研究
平木志虎:リアルタイム型アプリケーションに適用する分散処理型通信方式の研究

卒業論文テーマ

〇2023年度
三浦知将:大規模ネットワークのエリア分割法を用いた高速検査に関する研究
舘田瑛史:時系列トラフィックの分析によるネットワークの異常検出方法の研究

〇2022年度
杉浦優輝:大規模ネットワークにおけるサイレント故障の高速検査法
土合玲音:オールフォトニクスネットワークにおける波長利用効率の高いネットワーク構成法
原田亮佑:楽観的同期処理におけるロールバック抑制法の研究
平木志虎:オールフォトニクスネットワークにおける高信頼なネットワークの設計法

アクセス

〒441-8580
愛知県豊橋市天伯町雲雀ヶ丘1-1
豊橋技術科学大学 情報・知能工学系 F棟-512室